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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ケルト】

どんな考えを持っていても、ミナトは俺の第二の父親だ。
輸送隊としてでもいい、繋がりだけは切りたくは無い。

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「……ミナト、その坊主は?」
「ああ、拾った」
「拾ったぁ!?」

ミナトに渡してあった書類を受け取りに
帝都まで出てきたのはいいが、こいつは一人じゃなかった。
渡された書類を読む限りではまだ11になったばかりのガキ。

「あ……オレ、マダルゴって言います!!」
「いくつか前の時間で、
 ヤン坊に弟子入り志願したら997年で待ってるって言われたってよ」
「3つ前です!」

話を纏めると、こうだ。
何度か前の時間で弟子入りをヤンディに希望したら997年であいに来いと言われた。
だが次の時間ではそのことをすっかり忘れ、その次にはヤンディが帝国にいなかった。
それで今回、拠点を目指そうとしたら腹が減って動けなくて……
スラムで行き倒れていたところをミナトが拾った、と。

「……輸送隊で良いのかよ」
「はい、直属輸送隊として働けるなら、ヤンディさんにあえる機会があるじゃないですか!」
「いや、そりゃねぇと思うぜ……?」

ミナトがいるところにヤンディはまず現れない。
それにあいつの事だ、きっとこの坊主を覚えてすらいないだろう。

「ちょっとでもいいんです、遠くからでも見られればそれで。
 オレ、ミナトさんに鍛えてもらうことになりました。
 それで、強くなったらヤンディさんに弟子にしてもらおうと思ってます」
「あいつ、弟子とらねぇけどなぁ」
「まぁまぁ坊ちゃん。許してくれよ。
 俺は輸送隊の仕事なんざこれっぽっちもわからねぇ。
 だがこの坊主は6年の経験がある――俺としても助かるんだよな」

……ああ、ミナトは完全にこの坊主に色々とやらせる気だ。
だが確かにガキとはいえ繰り返しで得た6年の経験はでかい。
ミナトが仕事に慣れる為にもうってつけだろうが……

「……坊主、ヤンディが弟子にしたくねぇって言っても続けるか?」
「はい、断られて当然だって、そう思ってます。
 でもやっぱり、オレにとってヤンディさんは英雄なんです。
 オレと、オレの家族を助けてくれましたから」

じっと、その幼い瞳を覗く。
嘘も偽りもない。その信念は真っ直ぐで、簡単には曲がらないだろう。
――実に、将来が楽しみなガキだ。

「わかった、それじゃあお前ら2人で登録しておくぜ。
 仕事はきっちり回すからな、覚悟しとけよ」
「おう、任せときな」
「はいっ頑張ります!!」

書類を持って席を立つ。
あとはこれを真っ直ぐ傭兵組合に提出すれば登録完了だ。

正直、ミナトが一人ではなくて安心した。
一緒にいるのがガキだとしても、なんだかんだで面倒見がいいのがミナトだ。
その面では特に心配も要らないだろう。
守るものがあれば、無茶はしないはずだ。

一応ヤンディにも後で知らせておくかと呟いて、勘定をして店を出る。
これから先も輸送隊の管理は俺がやるようだろう。
ミナトとまともに言い合えるのは俺と姫くらい……ならまぁ仕方が無い。

「……ま、部隊長やるよりは遥かに楽だな」

全員を守るための努力なら、いくらでもしてやる。
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