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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:スカッシュ】

いやだ、いやだ。
あかいろも、くろいろも、いらない。
とおい、とおいひの、とじこめたおもいで

※若干流血表現他あり。苦手な方はご注意を。

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+ + + + + + + + + +


大臣の声で、会場にいる人たちにグラスが行き渡る。

今日は誰よりも綺麗に着飾った、リュンアお姉様のお誕生日。
だから、たくさんの人がご挨拶にと朝からずっと来ていた。
お城の大広間には楽団と絵師、吟遊詩人や芸を生業とする人達が御祝いのためにと
様々なものをリュンアお姉様に披露される。
でも、なんだかつまらなそうだ。

その理由をほんの少しだけ知っていた。
リュンアお姉様はあまりドレスがお好きではない。
なのに、あれでもないこれでもないと色々と着せられてお疲れなのではないかなと思う。
パーティーよりも、お庭で木登りやメイド達との鬼ごっこをされるのが好きなお人だ。
……わたしも、早くパーティー終わらないかなって思う。まだ始まってすらいないけれど。


「――それでは皆様、本日12歳になられました第二皇女、リュンア様に祝福の乾杯を!」


その言葉に合わせて、そっとグラスを掲げる。
会場にいる多くの貴族達もそれに倣い、あちこちからグラスのぶつかる音が響きだす。
高い音、低い音……その多くが透き通っていて、綺麗。
パーティは好きじゃないけど、この瞬間は好きだった。

みんながグラスの中身を含んで、歓談へと移り変わってゆく。
わたしは紅茶が飲みたくて、
グラスには口を付けずに近くのメイドに持ってくるように命じる。

座っているだけの、つまらないパーティ。
わたしと同じくらいの男の子は今日は来ないし、ダンスに誘われることもない。
みんな、みんなお姉様達狙いのお兄様方ばかり。
もう、わたしは早くお部屋に戻って本を読みたいのに。


「――いやぁあああ!!!!!」


突然上がった女の人の悲鳴にびくりと身体が震えた。
護衛がわたし達を護るように傍に立ち、何事だという男の人の声が聞こえる。
そしてそんなに間をおかずに、別の場所からまた悲鳴が上がる。

――気がついた時には、半分以上の人が床に倒れていた。
男も、女も、お年寄りも、若い人も、みんな。

なにが起きてるかなんて、わからない。
でも、みんな、どんどん、たおれていくの。


「父上!! 母上!!」
「どうぞお気持ちをしっかり!! アゼット先生は、医療人はまだですか!!」
「え……?」


目に入ったのは、床に転がるお父様の王冠。
赤く、あかくそまった、空色のドレス。
叫ぶリュンアお姉様と、使用人に指示を出すローズお姉様。

苦しそうに胸を押さえて、赤い、黒い、ものを吐き出すふたり。
ただ呆然と、周囲を見渡せば兵が大きな扉を閉めて、みんなに何かをつきさしていく。
あかくなって、たおれて、うごかなく、なって――


----


「――……」


ぼーっと、天井を眺めた。
壁に掛けた時計を見れば、まだ夜中ともいえない時間。
緩慢に手をかざして、ついさっきよりも随分と大きくなったことを確認した。


「……ゆめ?」


意識がはっきりとしなくて、鉄の臭いが鼻を突く。
ぐるぐると混ざり混ざって、混濁。

気持ち悪くて、苦しくて、痛い。
身体を抱えて必死に耐える。

あのこはだれ、あのひとたちはだれ。
あのこはわたし、あのひとたちは――


「――おとうさま、おかあさま」


なかったことにされた、だいぎゃくさつのよるのきおく
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