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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:スカッシュ】
あらすじ:黄金の門に巻き込まれた仲間を追って、無理やり門に飛び込みました

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ふと気がつけば、見慣れぬ場所に横たわっていた。
倦怠感の強い身体にため息を吐いて、そのまま辺りを見渡す。

「……半分失敗ってとこかな」

誰に言うわけでもなく、ぽつりとこぼす。
動こうにも、本当に魔力のほとんどを持っていかれた為にそれは叶わない。
よくもまぁ生きていられたものだと、自分の生まれ持った豊富な魔力に関心する。

無尽蔵の魔力だと誇ってはいるが、本当に底が無いわけではない。
生命力を直接魔力に変換できるからこその膨大な力。
当然、生命力にも限界はある。

「……魔法酔いは久々だわ」

気持ち悪い、と寝返りを打つ。
魔力と言うのは普通生命力を精神力に変換し、それを更に変換したものを言う。
これは、魔法を使いすぎて命を落とすことがないよう身体が勝手に作る回路だ。
普通なら、魔力を使い果たした時点で魔法は発動しなくなる。
無理に精神力を削らない限りは。

「……この空間の乱れの中、休めって言う方が無茶よねぇ」

ふらつく身体を近くの壁に預けながら出口があると思われる方向に歩いていく。
勘には自信がある。
人生の半分以上をこういった事に費やしてきたのだから。



あれから、数ヶ月が過ぎた。
"黄金の門"があるオーラムで色々と情報を集めたところ様々な事を知った。

5大国が大陸全土を巻き込んだ戦争をしていること、
英雄戦と呼ばれる最終決戦が行われ、戦争は終結に向かっていること。

その中でも一番有力だった情報は、
その英雄戦のメンバーに冥界の探検家と呼ばれる
ヤンディという大隊長が選出されていたと言うことだ。
その情報で、次にやるべきことは決まった。


その結果が、これだ。

「んー!!雪国最高っ!!!」

ぐっと伸びをする姿を、道行く人々はぎょっと見た。
原因は自覚している。明らかにこの服装が原因。

「……あんなモコモコしてるほうがおかしいわよねぇ」

とはいえ、雪国にはあるまじき薄着であるのは確かだ。
恐らくきっと、ここがマッカならば誰も気に止めないのであろうが。
暑さを訴える身体に雪が落ちては溶け、丁度いい具合に涼んでいた。

「……さて、行きますか!!」

向かう先は帝都を外れた集落の更に外れ。
女神の誓と名乗る部隊の拠点へと足を進める。
異世界における制限なのか、それとも一度に魔力を放出してしまったからなのか、
思うように使えぬ魔法に不安を抱えながら。



しばらく歩いて、道なき道に飽きてきた頃、ようやく遠くに目的地が見えた。
その近くには、ずっと探していた3人の姿。

こっそりと近付いて驚かせてやろうか、
それとも今すぐ走っていって抱きついてみようかと考え込む。

……刹那。


「……うそ、やだ」

空間が歪む。
時の流れすら歪んでいるように感じる。

慌てて駆け出すと同時に、姉さんも異変に気がついたのか青い魔方陣を展開した。
形式から察するに詠唱ありの保護魔法。

……でも、間に合いっこない。
あの保護魔法は呪文を唱え終えるまでに数分かかってしまう。
無詠唱なら一瞬。それは、姉さんも知っているはずなのに。

「ええい、どっちにしろ姉さんだけじゃ防ぎきれないわこれ!!」

今、全員を安全に保護する方法はただ1つ。
空間の歪みが最大になる一瞬だけ空間の狭間に逃げ込むこと。

ただし、魔力が安定していない今は戻れなくなるリスクも高い。
それでも。

「やってやろうじゃないのぉ!」

足を止め、一気に魔力を作り出していく。
炎の魔力を作り上げる過程で、異様な熱気が辺りに漏れて雪を溶かす。

「……っ、きっつい……」

思った以上の負荷に、地面を踏みしめ前のめりになりながらも命を魔力に変換していく。
空間魔法を全員に掛けるには、まだ足りない。
前ならこの程度の魔法に必要な魔力を生み出すのに苦労無かったというのに。

燃えるように身体が熱い。
呼吸ができているのかすらわからない。
心臓がこれ以上に無いほどに脈打つ。
これ以上はいけないと、身体が悲鳴を上げているのがわかる。

けれど、もしこのまま空間の歪みに巻き込まれたら次にどうなるかわからない。
……最悪、狭間に落ちてしまうかもしれない。
そうなればもう二度と会うことはないし行き着く先は死のみだ。
あまりの苦痛に浮かんだ涙にも構わず真っ直ぐ3人の姿を見つめる。

「……大丈夫、行けるわ」

空間の歪みがさらに大きくなったのがわかる。
時間は残されていない。
足元の雪は完全に溶けてしまった。

「……っ~!!!」

魔力の変換量を更に上げると同時に声にならない小さな悲鳴が口から零れる。
全身から汗が噴き出し、視界すらも歪む。
……これが、生命力を直接魔力に変換する魔法使いが短命と言われる所以。
身体側からストップが掛からないが故に、無茶をして命を使い果たす。

「――まだ……足り、な、い……」

今まで、魔力が足りなかった事などなかった。
いつだって過剰に乗せて強力な魔法を使っていた。なのに。

「ティーアン様、どうかあたし達に御慈悲と御加護を……!!」

首から提げた聖印を握りしめると同時に、足元の地面が乾ききって割れる。
もう一度、遠くに見える3人を視界に捕らえて真っ直ぐ腕を伸ばす。
その先に燃えるように紅い魔方陣が出現する。
続いて離れた3人と自分の足元にもそれぞれ魔方陣を展開させる。
そして、小さく呟く。

「……飛び、戻れ」

空間が目に見えて歪み、何も見えなくなった。



「……なにが起こったんだ? なんでかスカッシュちゃんまでいるし」
「おちびは置いておくにしても、姫さん何かしたかぃ?」
「保護魔法をな。よくはわからぬが何かが起こったのは確かだ」

ぼうっとする意識をなんとか覚醒させ、いつもの通りにと自分に言い聞かせる。
いつも通り、明るくバカみたいな女の子を演じればいい。
そう、いつも通り。明るく騒がしいスカッシュという女の子を。

「えへへ、空間の歪みを見つけたから飛び込んできちゃった」

ずっと捜し求めていた温もりに一瞬目が潤む。いつも通りの3人に安心した。
自分を放って話し込んでいる3人をみて、そっと聖印を握り締めそれからいつも通りに。

「ちょっとー! あたしにもわかるように説明しなさいよー!」


お転婆スカッシュちゃんは、ここにいます。
だから、もう置いていかないで。
お願い、いつまでも明るくて元気で、おバカな子でいるから。

もう、1人は嫌なの。
お姉ちゃん、お兄ちゃん。置いていかないで。
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