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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:クムン】

ヤンディを探しにスカッシュは飛び出し、二度と帰っては来なかった。
ああせめて、せめて妹の命だけでも。

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スカッシュがヤンディを探しに行くと、拠点を飛び出し早3日。
遅くとも一週間で帰ると言い残した部隊長は、もう20日以上戻らない。
本音を言えば、ヤンディよりスカッシュの方が心配でならない。

ヤンディが姿を消すなど、元の世界であるなら大して不思議なことではない。
ましてや、この世界で過ごした時間はもう9年近くになるのだ。
そろそろ旅をしたがる頃だったのだろうと、ケルトも言っていた。


「――まったく」
「ほらほら、せっかく面倒な2人がいないんだ。
 少しはリラックスしろよ、心配なのは分かるけどよ」
「だがもう3日だぞ。いくらなんでも遅い」
「姫。思い出してもみろよ、
 スカッシュちゃんだってふらっと一週間くらい居なくなることざらだったろ?」
「む……しかしだな」
「過保護なんだよ、姫も俺も。あいつらだってもう成人してんだぜ?
 それも中身は見た目より年食ってるんだからよ、いつまでも子ども扱いじゃあダメだな」
「……」


確かに、そうだ。
けれど心配な理由は他にもある。
時の知らせが、不幸を運んできたのは大よそ1年前。
覚悟はしているが回避する方法を見つけ出し実行しなければならない。
……時の巫女とは、望まぬ未来だけを知ってしまうものだ。いつの時代も。


「茶でも、淹れるか」
「あ、俺も」
「承知」


立ち上がった途端に、連続して大きく響くガラスの割れる音。
恐らく2つ。2つの何かが砕けた。


「この音って……!?」
「行くぞ!!」


勢い良く談話室を飛び出して、
独特な高い音の発生源であったであろうスカッシュの部屋へ急ぐ。
嫌な予感がする。
……いや、予感ではなくほぼ確信に近い。


扉を開け、部屋を見渡せばすぐに音の原因を見つけることができた。
予想はしていた。けれど、立ち尽くしてしまう。
後からやってきたケルトが部屋を覗き込み、顔を歪める。


「……嘘、だろ」


嘘では、見間違いではないと緩く首を振ってみせればケルトは部屋を出て行ってしまう。
ゆっくりとガラス片の散らばる棚まで歩いていく。


「バカ者共が」


そう呟いた途端、右頬を雫が伝う。
視線の先にあるのは、橙と青の水晶と粉々に砕け散った赤と白と黒の破片。
魔力を注いだ人物の死と同時に砕け散る水晶。


「姫」


振り返れば身支度を済ませたケルトがいて。
今まで無かったことにしてきた歴史がまた、繰り返される。


「誤作動かもしれねぇ、探しに行くぞ。支度してくれ」
「……ああ」


女神は、残酷だ。
こうなれば時の巫女に与えられる選択肢は2つ。
これを受け入れるか、無かったことにするか。
答えは既に、決まっていた。



あれから、2日。
ヤンディを見つけることは叶わなかった。
けれどスカッシュは、ミルス湖に注ぎ込む川の上流付近で息絶えているのが発見された。
状況を見るに、他国の兵と出会ってしまったのではと報告してくれた役員が言う。
なぜそんな所に行ったのかは簡単に予想が付いた。

些細な情報を頼りにそこまでたどり着いて。
現場を見に行ったケルト曰く、ヤンディが野営をした痕跡があったという。
良く分かるものだと感心したものだ。

誰も居ない湖に出て、地面に大きく複雑な魔方陣を刻んでいく。
魔法を制限されている身としては、その反動が恐ろしいがそうも言っていられない。
スカッシュが拠点を出てもう5日だ。
これ以上時間が経ってしまえば何もできなくなってしまう。
ヤンディの定めまでを変える事はもうできないであろうが。


「――我が真名において命ずる。時の門よ、ここに開け!!」


夜の闇が、強い青の光に包まれた。
放出しなければならない魔力の量に、毎度の事ながら倒れそうになる。
自分は人より多いとは言え魔力を膨大に持っているタイプではない。
この魔法を使うには、技術は十分でも魔力がないのだ。
けれど、気合で乗り切るしかない。


「――唸れ、水竜!! 我が身を時の濁流より守護せよ!!」


懐かしい音が周囲を包む。
ここ暫く使っていなかった高度な魔法の感覚に、思わず表情を綻ばせる。
だが、それと同時に黄金がこの魔法を阻止しようと動き出すのを感じる。
仕方あるまい、この魔法はどこに行っても禁忌だ。
ならば邪魔されてしまう前に完成させてしまえば良い。


「――飛べ、過ぎたるその時に。昇れ時間たるその滝を!
   時を渡れ、生じる時の不和は全て我が身に注げ!!!」


暗転。
時を越える感覚に身を震わせる。
全くもって良いものではない。
あるのは、全身を引き裂くような痛みと全ての魔力を持っていかれる空虚感。

やがて、地面に投げ出されたと思った途端耳に入った声に成功を知る。


「姉さん!? ちょ、ボス! ボスー!! 姉さんが倒れたーっ!!!」
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