英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。
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姉さんが、倒れた。
少なくとも、直前までいつも通りだったのに。
「……変人は帰ってこないし、姉さんは倒れるし、どうなってんのよー」
文句をこぼしながら、小さな鍋に食材を突っ込んでいく。
あたしだって、姉さんほどとは言えなくてもまともな料理くらいできる。
ただ、いつもはみんなの反応が面白くて色々奇抜な見た目にしているだけで。
「スカッシュちゃん」
「あっ、姉さんのご飯はあと5分くらい待って。あたし達のはスープがあるからそれとパンね」
「ああ、それは良いんだけどよ。姫が――」
「外に行くな、でしょ。わかってるわ。いつもの事じゃない」
姉さんは滅多に寝込まないし倒れない。
けれど、時々。数年に一度、魔力を完全に失ってしばらく寝込む。
そして、大体あたしの外出を禁じる。
……決まって何か行動を起こす直前で、毎回泣く泣く諦めるのだ。
今回は、もう半月も帰ってこない変人を探しに行こうと思っていたのに。
無理に行こうとすればまた泣き付かれるだろう。
いくらあたしでも、弱ってる姉さんを放っておけるほど薄情じゃない。
「……ボス、変人大丈夫かな?」
「あいつはプロだし、あっちにいるころは2ヶ月行方不明もざらだったろ」
「でも、3日で戻るって言ってたのに」
「心配要らねぇって、知り合いにはもう声掛けたろ? そのうち情報が入ってくるさ」
「……うん」
火を止めて、鍋の中身を皿によそう。
最後に見た目を整えて、完成。
「あ、ボス。紅茶セット用意してよ。姉さんの事だから、飲みたがってるわ」
「あいよ。スカッシュちゃんは早く持っていってあげな。
さっきうつらうつらしてたから寝てるかもしれねぇけど」
「それが今の姉さんの仕事だわ。寝てたら寝てたで保温掛けるから問題なしね」
それだけ言って、姉さんの部屋へ向かう。
ずっと無理をしてくれていたんだから、元気になるまでは心配を掛けたくない。
この状態になると、あたしの姿が、魔力が近くに無いだけで無理をして歩き回ってしまう。
過保護さには時々頭が痛いけれど、それだけ大切にしてくれてるってことで。
今回はどれくらいで元気になるだろうか。
2週間か1ヶ月かはたまた半年か。
今回は、時跨ぎをあたしだけでやらなきゃいけないかもしれない。
「姉さん、入るわよ」
「ああ」
やれるだけのことはやろう。
代わりにはなれなくても、手伝いくらいはできるはずだから。
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プロフィール
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ティス
年齢:
29
性別:
女性
誕生日:
1994/05/10