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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ヤンディ】

光の魂が光を捨てて闇を受け入れた。
これは本当に彼の本心か、それとも死神の術の賜物か。
――そんなこと判り切ってるじゃないかねぇ、
人間如きが神の業の前に抗うことなんて出来ないのだから。

※天狐さん(1x90)のテンコさんをお借りしております。

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「――話をつけてくる」
「マスターダメだ、好機とばかりに取り込まれてしまう!」
「……かも知れないね。
 何でかな、前は憎んでいるだけだったけれど今はむしろ哀れに思えて仕方ない」
「それが罠だ、マスターは闇に侵されて眷属にされかかってる。今許すわけには――」
「行くと言ったら行く。……君が神だろうと、使役してるのはおいらだ。
 道だけ示してくれれば自力で帰ってくるよ」



そう言って無理やりここに来たのはおいらのわがままだ。
見飽きた禍々しい門を前に、声を張り上げる。
鈍い音を立てて開いた先は深すぎる闇。
意思をしっかりと持ち、肉体を持たないこの半端な魂を支えてくれている親友に感謝する。


「――このままだと君まで引きずり込んでしまいかねない。
 だから、君が守ってくれているここから出るよ。今までありがとう。
 ……大丈夫、絶対君への干渉はさせないから」


繋がりを完全に絶てば彼は消えてしまうだろう。だから切りはしない。
いつか彼がしてくれたように、今まで自分がやっていたように。
神の業でも決して変化させられない魂の核の、更に奥に隠す。

眷属とは即ち、闇の神や精霊に拾われた魂。
仮に飲まれても、核の奥底に隠してしまえば彼は無事で済む。
これは今、魂だけの存在であり
半分は神として作り変えられてしまっているからこそできる芸当だ。


現にしがみつかせていた部分を呼び寄せ、明るく燃えるそれを深くに包んで隠す。
死ぬまで守ると誓った。絶対に手離したりしないと誓ったのだ。
完全に眷属になってしまえば現世から肉体は消え、
それに相応しいものに作り変わってしまうだろう。
けれどそれが自分自身の身体であることに変わりはない。
ただ、老いが無くなり人ならざる命を得るだけ。


「……ありがとうテンコ、君の明かりは確かに受け取ったからもう無理しないで。
 これからは、今まで通りおいらが守るから」


魂の半分が既に堕ちていることは承知している。
こんな状態では、女神に願っても聞き入れてはくれないだろう。
……僅かでも女神を信じられなくなってきている自分に加護をくださる訳がない。

雑念を取り払って、冥界に続く門を潜る。
急速に光が失われていく感覚を強く覚えたが、不快ではない。



……決着をつけに行こう。




新たな眷属が生まれるか。


冥界の王を従える第2の大罪人が生まれるか。


もしくは魂がその神力に耐えきれず砕けてしまうのか。





“ディフリーヤ”はここに宣言する。
今を以て、闇を拒むことを放棄すると。




……結果、“光”を失うことになろうとも。
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