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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ヤンディ】

ほぅら言わんこっちゃ無い。
人間如きが冥界の王である冥魂神様に逆らおうなんて馬鹿げてる。
いらっしゃい可愛らしい眷属君、冥界の私たちも可愛がってあげるわ。

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冥界の門の内。
そこは既に、冥界の王のテリトリー。
この先の見えない闇は全てあいつが生み出した、あいつ自身。


「ふぉっふぉっふぉ……半分の属化でさえここまでコントロールできるとはな」
「……違う、おいらは自分の意思でここに来た」
「ふん……そういうことにしておいてやろう」


暗闇から浮かび出た姿は、見飽きた男の姿。
黒いローブを纏っているのにも関わらず、その姿ははっきりと認識できる。

じっと王を直視しているうち、思考を満たしていくのは王への従属心。
自分如きが冥界の王に逆らってはいけない。
こうして膝をつかずに対面しているなど、なんと恐れ多いことか。





「――違う!!!」


違う。こんな奴に服従してたまるか。
呑まれる為にここに来たのではない。
そう、こいつを。こいつを従えてやるためにここに来たのだ。


「ほう、人間如きがわしを従えるじゃと?」
「……ああ、そのために来たんだ。罪と言われてもいい。
 ただ守るべきものを守るためにお前の力を使ってやる」
「できるものならば精々反抗してみよ、お前は既にわしの眷属じゃ。
 お前の意思なぞ簡単に制御できよう」
「それこそ、やれるもんならやってみろ。お前なんかに自由を奪われて堪るか」
「奪ってやるとも、お前はわしの眷属として永久に働いてもらう!」


……ああ、またそれか。
そう心の中で呟いてやれば、王の表情が微かに変わる。


「おいらをここに連れてきて属化しようとしてるとき、嫌と言うほど伝わってきたよ」
「ふん、当然じゃ。そのためにこのような手間の掛かることをしておるのじゃからな」
「寂しいだけだろイサスベリ」


その言葉を落とした途端、眷属と化してしまった部分が一気に残りの部分を蝕み始める。
全てを凍りつかせる冥界の王の力がダイレクトに流れ込みだす。
がたがたと身体が震えだし、思わず両膝を地に着け必死に自分を抱きしめた。





――さむい、くるしい、こわい。こわい、こわい、こわいこわいこわいこわい!!!!





「――が、ぁ……は……っ!!」
「……人間である上に、その魂の半は既にわしに属するモノじゃ。
 逆らえはせん、堕ちろ。深い闇の奥底に」


自分でも分かってしまう程恐ろしいスピードで、自分がヒトで無くなって行くのを感じる。

――やはり無理だったのだろうか。楔も枷も用意しないままに神を従えようなどと。
愚かでしかなかったのだろう、今まで散々嬲られて来たというのに。





最後の光が失われたのを感じたと同時に意識が混濁する。
視線は王の足元をぼんやりと彷徨い、身体を抱いていた腕は力なく落ちた。


王が片膝をつき、自分の顎を持ち上げて視線を合わせて“くださった”。
“偉大なる”冥界の王が自分如きの為、膝を地につけていらっしゃる。


「……気分はどうじゃ、ヤンディ」
「――」


声が、出ない。
意識があまりに濁っていて、お答えすることができない。


「……急ぎすぎたかのう。どこも壊しておらんと良いのじゃが」
「――ぁ」
「休め、今はこれ以上手を出さん」


全てが闇に沈む。
ただ、この上なく幸せであった。
冥界の王たるイサスベリ様に気を掛けて頂けた事が。






――けれど、何かが叫んでいる。
それは違う。これは自分の意思ではない……と。
なぜ、と問おうと思えど王の力に従ってどこまでも深く意識が沈む。


どこか、自分の奥深くで輝かしい光が見えた気がした。

――忘れてはいけない筈なのに。
それが何なのか思い出せないまま、深い闇のゆりかごに抱きしめられた。
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