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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:スカッシュ】

守られるだけじゃない。
守るために戦いたいの。

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「ねぇボス、ちょっと剣の相手してくれない?」
「ん、いいぜ?」


雪のちらつく中、剣がぶつかり合う音が響く。
片や重量感のある大剣。片や女性的なフォルムの小振りな片手剣。
それぞれの構えもまた、特徴的なものである。
ケルトは腰を落とし低い位置で構え、
スカッシュは剣を持った手を高く上げ斜め下に剣先を向ける。


「こいよ」
「……炎竜派、第七演舞。天舞う聖竜」


スカッシュの剣に渦巻き状の炎が宿る。
対するケルトは剣先を地に付けて宣言する。


「地竜派、第八演舞。地竜のとぐろ」


勢いよく左から右へと薙ぎ払うと、地に積もった雪が舞い上がった。
それと同時にスカッシュは駆け出し、雪の中のケルトに剣を振り下ろす!
それを最低限の動きでかわし、反撃を繰り出すケルト。
その場で跳躍し、ケルトの剣を足場に大きく後ろに下がる。


「流石に演舞型はそっちのが上だな」
「えー、色型もあたしのが上よー!」
「それだと俺の立場ねぇから」


けらけらと笑うケルトとむっとするスカッシュ。
左手を横に伸ばし、赤い魔方陣が展開されるとそこからもう1本の剣が飛び出す。
それをしっかりと手にすると、対の片手剣を逆手に持って構える。


「だったら色型もやろうじゃないの、あたしが勝つけどね!」
「これ負けたらマジで立場ねぇってーの」


苦笑しつつも剣を構え直すケルト。
にっこりと笑顔を浮かべてから、スカッシュが地面を蹴る。


「炎竜派、第六色・創世の火炎歌!!」
「地竜派、第一色・地這う大竜!」


2つの異なる剣技がぶつかり合う。
一撃の重さはケルトが勝り、完成度はスカッシュが勝る。
故に、均衡。


「……流石に実戦現役の相手には隙突かれちゃうわね」
「相変わらず見た目重視の癖に的確だよな……」


それぞれの急所ギリギリで止められた剣を同時に下ろし、しまう。
誰も踏み入ったことの無い新雪に身体を投げ出すスカッシュ。


「んーっ!久々に流派を使ったわ!!ありがとねボス!」
「んにゃ、こっちこそ演舞を思い出せて良かったよ。
 にしてもスカッシュちゃん、流石の腕だな。戦ってねぇのにほとんど鈍ってねぇ」
「うふふ、演舞はよくやってるのよ。剣持って踊るの!」


ひとしきり笑うと、ふっとケルトを見てスカッシュが言う。


「ねぇボス、あたしが前で戦いたいって言ったら怒るかしら?」
「んー?俺はあんまり前に出て欲しくないが……」
「例えばよ例えば。ボスの前に姉さんも説得しなきゃいけないわけだし」
「……前衛に居たいのか?」
「考え中。だって、あたし暫く人間に剣向けてないのよ」
「スカッシュちゃんは後ろにいてくれた方が安心なんだけどなぁ」


ケルトが頭を軽く掻き次の言葉を探していると、拠点の方向から声がかかる。


「その辺にして茶でも飲まぬか?」
「おっ、ありがてぇや。スカッシュちゃんも戻ろうぜ」
「身体冷ましてから行くー」
「了解」


拠点に戻っていくケルトを見送り、雪のちらつく空を見上げる。
ひとつ溜め息をついて、小さく呟いた。


「――だって、今のままじゃあたし……足手纏いじゃないの」
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