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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ヤンディ】

灰の希望神に、母親のことを教わった。
けれど自分が知っている事実は、
その人が愛してくれていたということと、この手で殺めたということだけ。

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+ + + + + + + + + +


聞くべきか聞かないべきか迷った挙げ句、姫さんの部屋の前に立っていた。
扉を叩こうと手を上げると同時に扉が開いた。

「もう、入るなら早く入らんか! って姉さんが」
「なんだ、おちびもいたのか」

苦笑を返して、部屋に足を踏み入れる。
部屋の中央に置かれたテーブルの上には2つのティーカップ。

「適当に座れ、今お主の分も淹れてやる」
「ありがとう」

言われるまま席につき、紅茶を淹れる姫さんを見る。
差し出された紅茶に砂糖をひとつまみ入れて軽くかき混ぜ、一口。

「ん、やっぱりいいね」
「当然だ」

僅かな無言空間。
おちびも珍しく静かに紅茶を飲んでいた。

「……して、何用だ?」
「ナディア=キュアノエイデス・カルディア」
「あら、懐かしいわね。青の当主様の名前じゃない。どうしたの?」
「ま、そりゃ知ってるか。
 ……2人に聞きたいんだけど、キュアノエイデス家に生き残りはいるかい?」

姫さんとおちびは視線を交わして、少し考える。
やがておちびが不思議そうにおいらを見る。

「なんでまた?」
「いいから教えてよ」

昔、調べようとした時に途中で辞めてしまったのだ。
もしも仮に、誰かが生き残っていたとしても見つけられないだろうと言う結論に行き着いて。

「――いないはずだ」
「赤と青のお屋敷は他の貴族と比べても惨状だったものねぇ……」
「……そっか。じゃ、おいらが"最後の青"を葬った訳だね」

それを口にした途端、2人の表情が曇る。
仕方ないだろう、皇族と青の繋がりは深い。

「……それを、どこで知った?」
「そうよ、少なくともこっちの世界でそれを知れるわけ無いじゃない」
「うん、まぁいろいろあったのさ。
 ……で、本当に生き残りはいないのかい? 子供は?」

「ナディアおばさまに子供なんていたっけ?」
「いや……聞いたことがないな。
 ただ一度流産し、とある誓いにより二度と子は作らぬ、と聞いたことはあるが」
「ナディアおばさまって、御祈りの時間長かったわよねぇ。
 ティーアン様の信者とは思えないくらい最初から最後まできっちりしてたわ」
「え、そうかい? 割と普通の適当さだったように思えるけど」

遠い昔、母さんとの祈りの時間を思い出す。
誰もいない時間帯に1人で祈りを捧げていたら、
いつの間にか隣にいる変な奴……当時はそんな印象だった。

「一度、聞いたことがある。何をそんなに必死になって祈るのかと。
 『私の子として生きる筈だった子の、平穏な眠りを』と言う答えだった。
 あまりに寂しそうな笑顔が月に照らされてな、それ以上は聞けなかったが」
「あ、あたしも上手い具合にかわされた事あるわ。
 ナディアおばさまって不思議な人だったわよねぇ。
 ……って変人!? やだ、何泣いてんの!?」
「……え?」

指摘されて、やっと自分の目から雫が溢れていることに気が付く。
慌てて拭っても、それは止まってくれない。
おちびがおいらの背中を擦りながら言う。

「ちょっと、どっか悪いんじゃないでしょうね?
 さっきからあんた様子がおかしいわ」
「……大丈夫。たぶんこれ、嬉し泣きだから」
「余計わかんないわよ!?」

力強く涙を拭って、席を立つ。
2人の視線がこちらを向いているのを確認し、目を閉じ身の内の魔力を限界まで高めていく。
血の証明なら、これでできるはずだ。キュアノエイデス家が青と呼ばれた所以。

身から溢れた魔力が髪をなびかせるのを感じ、
そっと目を開けば藍白であったそれが鮮やかな青に染まっているのが目に入った。
それと同時に、驚いて固まっている2人も。

「――おいらは青を継ぎ、罪の名を背負う者。
 ヤンディ=キュアノエイデス・カルディア。
 ナディアを母親に持つ、流れたとされる子……らしいよ?」


いつになるかはわかりゃしない。

それでもいい。


いつの日か、あの人に胸を張って幸せだと言えるように。
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