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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ケルト】

自我をほぼ無くし、反応の無くなったヤンディにケルトは危機を覚えた。
いつか、ふらっと外に出、死んでしまうのではないかと。
――意思を改変する、禁断の魔法。
それで縛り、純粋に助けたかった。

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+ + + + + + + + + +

これは、俺自身の精神が持たないと悟った。
リンクしてしまえば、この歪みが自分の精神をも蝕むだろう事は明らかだった。
故に。

「3分で片付ける。それ以上は俺が持たねぇ」

覚悟の言葉を告げる。
強がりだと、虚勢だと言われてしまうかもしれなかった。
……それほど、この状態のヤンディに精神をリンクさせるのは怖かった。
底無し沼に、自分から飛び込んで行くような物だ。
遠征の時のように、一瞬のリンクではない。
根本的な意思を改編する以上、精神をほぼ完全に同化してやらなければならない。

離れた場所にいる2人に気が付かれぬよう生唾を飲み込み、集中する。
少しずつ、ヤンディの精神を壊さぬよう繋げて行く。

途端、誤魔化しようの無い苦痛が襲い来る。
想定していたとはいえ、一瞬のうちに全身が悲鳴を上げた。
脂汗は吹き出し、身体は震え、声を外に漏らさぬように歯をくいしばる。

その間も、確実に精神のリンクを押し進める。
やがて意識が放り込まれた先は、暗闇。

様々な記憶が流れ、ことごとく破壊されていく。
内容までを窺い知ることはできないが、恐らくは全てヤンディの光の記憶。
砕かれた記憶の破片が、精神をも破壊しているのを感じた。

「……さっさと始めるか」

『させぬよ』
「っ……!?」

全身を、裂かれるような激痛が襲う。
これは、そう。他者が無理やり侵入してくる時、対象以外にもたらされる苦痛。
「じゃ、ま……邪魔すんじゃねぇ死神!!」

精神・意思保護魔法を素早く的確に積み上げる。
まだ、完全にリンクされているわけではない。
ならば、障壁を作ってしまえば死神の干渉は防げるのだと急ぐ。
――壁を築けば、自分も外に出られなくなるのは百も承知だ。
それでも2人揃って蹂躙されるよりは、遥かにマシだと判断を下した。

『ふん……立て籠るか。精々足掻けば良い。傀儡は直に壊れると決まっておるのだ』
「うるせぇ、何がなんでもそんなことには俺がさせねえからな!!」

正直、こんな壁で死神が諦めるとは思えなかった。
しかし、干渉が止まったのは事実。

「……やばいな、早く終わらせねぇとヤンディの前に俺がぶっ壊れそうだぜ」

誰に言う訳でもなく、ただ自分に言い聞かせた。
そうでもしなければ、正気でいられそうがなかったから。

「――障壁維持、意思検索!」

別に、言葉にする必要はない。

「――保護、改編、保護、封、追加」

だが、ひたすらに流れてくる感情を黙って処理していく事はできなかった。

「追加、封、封、保護、改編!」

ひとつひとつがこいつを構成するもの。
それを、踏みにじっている自分を許すことが出来なかった。

「封、保護、追加、改編、保護、保護、保護!」

本来なら、一晩掛けて行うべき改編をこの短い時間に収めなければならない。
だが、こんなスピードで処理していたら自分はもちろんこいつへの負担はバカにならない。

「保護、保護、改編!」

恐ろしかった。
自分がやったことで、こいつの時間を縮めてしまいはしないかと。

「――検索終了、結果閲覧!」

一度に流れてくるイメージを隅々まで確認する。
ミスは絶対にできない。何も見落とさぬよう、とにかく集中。

「……耐えてくれよ、ヤンディ。俺も、気張るからよ」

自分の精神にまで、歪みが生じている事は随分前から認識していた。
精神に問題があるなか魔法を行使すればどうなるか……
そんな事、物心ついたばかりのガキでも知っている。

「意思改編に障壁に……ちょっとやりすぎたな。空っぽだぜ」

魔力の枯渇。
このままでは、精神の分離まで辿り着けない。
そうなればやがて、拒否反応の果てに双方の"魂ごと消滅"する。
それを回避する方法は、ただひとつ。

「――リミット解除、我が命を燃やせっ!!」

膨大すぎる魔力と引き換えに、命を消費する最終手段。
加減を間違えれば、一瞬で死ぬ。

しかし、自分にはこの魔力を制御できるだけの技量は無い。
そして、この魔法に求められるのは正確さ。
……つまり、双方の精神を破壊しかねない。

「改編完了、遮断、障壁解除、離脱!」

無理やり自分の中で魔力を絞る。
出口を失った力は、破壊をもたらす。
あっという間に消費されていく命と、それを破壊しようとする力。
確実に自分自身が死に近づいている事を強く認識した。

「――遮断、閉じよ。二つの意思、精神へ。」

暗闇から引き上げられる感覚を感じた直後、床に倒れている事に気が付いた。

「……全部、終わらせたぜ」
「ボス!!!」
「――3分どころか、3倍掛かったではないか。」

2人の声が、遠くに聞こえる。
なにやら問いかけられて、自分もそれに答えているようだが実感が無い。
ただただ、眠りたかった。
あまりに精神を、命を燃やしすぎてしまった。

女神よ、どうか。
俺のただ1人の弟を御救いください。
最後の、真の家族を御救いください。
この身は朽ちても構いません。
どうか、どうか。
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