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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ヤンディ】

そう、目立つとこういう奴が現れる。
元の世界でもいたけれど、全員遺跡の骸と化した。

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「……」
「……ちょっと」
「わかってる……」

さっきからずっと、つけられている。
ただ、手練れとかそういうのには程遠い。
完全なる素人。立ち止まって振り向けば、1人の男の子。

「……誰、何の用?軍部を出たときから付いてきてるけど」
「あ、えっとごめんなさい! オレ、マダルゴって言います。弟子にしてください!!」
「行くよおちび」
「はーい」

また元の方向に向き直って歩き出す。
弟子なんて冗談じゃない。
あんなガキ、面倒なんか見てられない。

マダルゴと名乗ったガキは、走ってきて追い越すと進行方向に立ちふさがって頭を下げた。

「お願いします!オレ、強くなりたいんです!」
「だったら他を当たれよ、おいらなんかより強いのはいっぱいいるだろ」
「でもオレ、ヤンディさんが一番だと思って……!」
「弟子は取らない主義なの」

そいつを押し退けて進むが、相変わらず付いてくる。
ため息をひとつ吐けば、隣のおちびが心外だとばかりに口を開いた。

「あれー?あたしを無理矢理弟子にしたのはだれだっけ」
「手下にした覚えはあるけど弟子にした覚えはないよ」
「未だにその扱い!?」

このままだときっと、拠点まで押し掛けて来るだろう。
そうなれば色々と面倒な事になる。
――面倒事は、大っ嫌いだ。

「……あのさ」
「はい!」

くるりと振り返る。
ざっと見た感じ、このガキはまだ13から15と言ったところ。
そして間違いなく帝国生まれの一般人。
仮に1から仕込んだとしても使い物になるまで一体何年掛かるか分かったもんじゃない。


「なんでおいら?」
「強くて、格好良くて……オレ、探検家になりたいんです!」


そもそも、こういうタイプから死んでいく。
自分の限界を知らず、引き際がわからず、命を落とす。
……勝手に付いてきて、
いつの間にか死んでいた奴なんて数えきれないし数える気にもなれない。


「探検家って聞こえはいいけど、おいらの場合は泥棒そのものだよ。それでも?」
「はい!」


昔なら勝手にすればと、それだけだった。


「ダンジョンや遺跡は油断すれば命を落とすよ」
「覚悟はできてます!」


勝手に付いてきた連中は、罠の嵐に飲まれていった。
だから。


「……だったら、997年で待ってる」
「――え?」
「意味が分かったら、帝都の北西を目指しておいで。その時はちゃんと考えてやるよ」



おちびに声を掛けて、煙玉を叩く。
そして、高台に移動して諦めて帰っていくガキを見送った。

「……何、今の」
「黄金があの子を認めるかどうかのテストかな」
「来ないわよ、一般人でしょあの子」
「知ってるよ。ああいう子は条件を出さない限りは諦めないから」
「意地悪ねぇ……」
「何を今更。帰るよおちび」
「はーい」


……あの子の熱意が本物なら。
黄金の門と、灰を名に持つ案内人が放ってはおかないだろう。
あれは、黄金の魂を錬成するためならば手を選ばないのだから。


――ま、どっちにしろ弟子を取る気は無いけど。
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