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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:スカッシュ】

あたしは守れなかった。
Dが帰ってくるまで、絶対に彼を支えて見せると誓ったのに。
あたしが無力で、力が無いばっかりに、彼は死にかけた。

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「……ねぇ」
「なぁにシエナ?」
「あんた、本当にD?」

ヴァルトリエに程近い、イズレーンの谷間の端の方であたし達は2人だけで居た。
……いろいろあったのだ。
少なくともあたしは、自分の無力さをこれでもかと味わった。

「うーん、そうだね。根本は変わってないけど?」
「やっぱりなんか違うのね」
「力の源が変わったんだよ。おかげでボクはもう聖霊じゃない」
「じゃあ何?」

下を向いて砂を弄る。
さっきからずっと、目を合わせていない。
……なんだか、気まずかった。

「えーっと、神? まだ不安定だからモドキって付くかもしれないけど」
「……今度はティーアン様じゃないの?」
「うん、今度は運命竜の紫苑から貰ったものだから」
「……なんか、凄いことになってるのね」

ここ最近、神様とか死神とか聖霊とか。
よく分からないものがずっと渦巻いていて。
それが余計に、あたしには何もできないのだと突きつける。

「――そうだシエナ」
「何?」
「頑張ったね、結構堪えたでしょ」
「……あたしの取り得なんて、このバカみたいな魔力だけだもん」

膝を抱えて、砂の山を崩す。
こんな風に、何もかも崩せればいいのに。
あたしが作った全てを、何もかも。

「それでも、だよ。ずっと、よく頑張ったね。マスターを支えてくれてありがとう」
「……もっと早く帰ってこれなかったの?」
「……ボクも、色々あったんだよ」

いくらあたしでも、いつでも“スカッシュ”でいられるわけじゃない。
でも、だけど。もうわからない。
何があたしなのか、どれが仮面なのか、本当は、真実は何なのか。

「ま、別に変人が助かったからいいんだけど」
「――シエナ」

気配があたしの前にしゃがみ込んで、動かない。
ずっと下を見ているわけにも行かなくて、ゆっくりと顔を上げたら当然Dが居て。

「君に、これを」
「……ピアス?」

差し出されたのは一個のピアス。
小さくて、シンプルで、可愛らしい。

「もう片方は?」
「これは、これだけなんだよ」
「……ふぅん。それで、どんな魔法掛かってる訳?」

彼が持ってきたものが、マジックアイテムでない訳が無い。
これもきっと、意味のあるもののはず。

「これはね、真実のピアス」
「真実?」
「見失ったり、わからないことを見つけ出せるもの。
 だけど、すぐに見つけられるわけじゃない。
 場合によっては1ヶ月、1年……10年以上掛かるかもしれないけれど、
 最後には持ち主の知りたいことを教えてくれる」
「……別に、何も見失ってないし分からないことも無いわ」

――嘘。
ああ、でも。何が嘘なのかな。
全部、かな。

「そう? だったら普通のアクセサリーとして使ってよ。今回のお礼だと思って」
「仕方ないわねー、そこまで言うんだったら受け取ってあげるわ!」

早速、何も付けていなかった右耳にピアスをつける。
大きさ的にもあまり目立たないけれど、なんだかそれが丁度いいような気がした。

「……あ、帰ってきた」
「じゃ、準備しなくちゃね」

紫の膜が掻き消えたとき、またあたしは仮面を被る。
それは、“スカッシュ”というあたし。


今までそうしてきたようにずっと。

それが、あたし。
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