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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ヤンディ】

本当に、みんなには心配をかけてばかり。
特にこいつが気にかけてくれていることくらい、すぐ分かる。

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たまたま露店で見つけたシルバーの腕輪が目に止まった。
このところ、何となく落ち着かなかったのだ。
ノードゥスの腕輪が砕けてからというもの、左手がどうにも気になって仕方がなかった。
だから、何となく似ているこれが丁度良いと思ったのだった。

「おねーさん、これいくら?」

思ったより安いことに驚きつつも購入。
特に装飾の無いシンプルな物だった。
早速、空いている左手に嵌めてまた歩き出す。

しばらく表通りを進んだところで、裏通りに入り込む。
この通りを歩くには目立ちすぎる赤だが、今日は仕方がない。
なんでまたあんな店で待ち合わせなのかとため息を吐く。
まぁ、確かにあの店なら落ち着いて話せるだろうが、拠点の方が楽だろうに。

「……らっしゃい」
「マスター、赤髪のガキって来てる?」

面倒くさそうに店の隅を指差してグラス拭きに戻るマスターに一言礼を言って、
集まる視線を感じ内心で溜め息を吐く。
既に酒を飲み始めているこいつだけなら確かにここも居心地良いのだろうが、自分はあまり良くない。
……というのも、だいぶ前にここの常連と揉めたからなのだが。

「よー、来たか」
「来たか、じゃないよ。何なの一体」
「まー飲めって。親父、大瓶2本追加な!」
「……まだ飲むの?」

今度ははっきりと溜め息を吐いた。
テーブルにはもう何本か空の瓶が置かれている。
いつもの事だ、いつもの事なのだが……

「いつもに増して飲み過ぎ」
「んなことねぇだろ」

けらけらと笑うこいつの身体が不思議でならない。
どうしてここまで飲んで酔わないのか……むしろ普段から酔ってるのかもしれないが。
何度目かわからない溜め息を吐いて、もう一度尋ねる。

「で、話って何?」
「あぁ、最近の戦い方が気になってな」
「おいらの?」
「おう。なんかしょっちゅう黒い霧が纏わりついてんだろ」
「あぁ、あれ……護ってくれてるつもりらしいよ」
「はぁ?」

グラスに注がれた酒を一口含む。
あいつの話はよくわからなかったけれど、とりあえず護ってやるとか言っていた。
どこまで本気なんだか、分かったものではないが。

「実際怪我減ったし」
「……そうか?」
「減ったよ?」

以前は治療を許してくれなかった傷も、しっかりと治るようになった。
おかげで隠す必要も無くなって非常に楽なのだが。
でもやはり心配なものは心配で。それはこいつも同じようだった。

「大丈夫なのかよ、無理とかしてねぇだろうな?」
「してないよ。それに今のところは平気」
「なんかあったら絶対言えよ?」
「はいはい……」

まぁなんというか。
どいつもこいつも過保護になってる気がする。
実際目の前で死に掛けたし、
ここ最近は数年毎に散々な目に遭っているから無理もないのだろうが。
たまに心配そうな視線を感じるものの、基本的に変わらないおちびがありがたい。
ケルトや姫さんはもう……ことあるごとにこれだ。

「……それ、腕輪どうしたんだ?」
「さっき露店で買ったのさ、なんか何もないと落ち着かなくて」
「たっく、お前のアクセ好きは一体どこから来たんだかな……」
「えー、元からじゃない?」
「昔はそんなにつけてなかったじゃねぇかよ」
「……まぁ、少なくとも衝動買いは無かったね。そういえば」

なんというか、確実にあの子の影響だ。
あの子と会う前は確かに、売りはしても自分で買ったりはしなかったのだし。

「――はぁ」
「あん? どうしたよいきなりため息ついて」
「なんでもない……」

テーブルに突っ伏す。
そしてまた、ため息。

「お、わかった。あれだな」
「……」
「あいつだろ、あのよく来てたトレジャーハンター」

思わずがっくりと来た。わざとか、きっとわざとだ。
その子は知ってるしあの子と仲もいいけど自分はあんまり仲良くない。

「……それは姫さんかおちび目当てだったろ」
「だったらアルミュスか?」
「…………誰?」
「ほら、ガキ共を任せてるとこのトップ」
「あー……って違う」

確かにあの人は美人だ、美人だけれども。
ちらりとケルトの様子を伺えば、その表情はいかにも楽しそうで。

「わざとだろ」
「……もう随分経つってのに一途だよなお前」
「君に言われたくないね、未だに女帝サマに憧れてる癖に。おいらの倍だろ、倍」
「うっせ、俺はそういうんじゃねぇよ。あくまでも国民として、だ」

ぐっと飲み干して、まだ瓶が空になっていないのに次の酒を注文するケルト。
珍しく麦酒ではない。
大して進まないこっちに気を使ってくれたのかそれとも。

「……ほら、飲もうぜ」
「……うん」

グラスに注がれた酒が、氷を溶かして心地いい音を立てる。

「――生きててくれてありがとよ」
「……え?」
「なんでもねー」

思わず聞き返してしまったけれど、しっかりと聞こえていた。
酒のせいなのか、それとも照れてしまったのか。
少し赤みの差した顔を見て小さく笑った。

自分は直接口になんて出せそうに無いけれど。
せめて心の中では言っておこう。
それでもにやけそうになる表情を必死に抑えて。


こっちこそ、心配掛けてごめんよ。
だからそっちも無理しないでおくれ、にいちゃん。
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