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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ケルト】

人ならざる力。
それに対抗するには、確かに必要なものだろう。
特にこいつがあいつから離れるというならば。

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「はっ!!」

とにかく剣を振るい続ける。
ようやく、ようやく完成しそうなのだ。
魔力の配分は相変わらずシビアで鎧に回す分は無いが。

「“纏え、大地の豊穣を。北の大地に新緑の芽生えを!”」

相変わらず、属性魔法は苦手だ。
けれど、苦手は苦手なりに工夫すればいける。
地と相性が良いのは草。次点で水だがこっちは扱えない。
混合魔法の難易度はバカにできないが、習得するしかない。

「“母なる大地が産み出し剣よ、深緑纏いて我が敵を――」
「やぁケイル、頑張るね」
「バカ、話しかけん――うわっ!!」

一瞬のうちに魔力が暴走し、剣が弾かれる。
高くに弾かれた剣は切っ先を地面に向けて落下する。
その先には――

「D避けろ!!」

余裕綽々といった様子で半身だけ移動すると、高く跳び上がるD。
空中でしっかりと剣を握ると、そのまま着地した。

「――じゃじゃ馬なのは相変わらずだね、こいつ」
「……無事で何よりだけどよ、なんかお前ムカつくわ」
「お褒めの言葉ありがとう」
「褒めてねーし」
「ちょっとこれ貸して」

返事をするまえにDは剣を構える。
数度素振りをし、満足したのかこちらに返した。

「んで、どうした?」
「うん、ケイルに預けたいものがあってね。……冥界の王と渡り合うだけの魔力を君に」
「――どうしたよ、急に」

あまりに唐突だ。
確かに死神と渡り合える力はほしい。
けれど、急にそんな力を得てしまえば一体どんな副作用が起こるだろうか。

「暫く、ボクは神界に帰らなきゃいけなくてね。
 その間に君やマスターに王の手が及ぶと、ボクは手が出せない。
 だから、君にボクの魔力を預けたい。
 大丈夫、副作用が無いように工夫はした。これを身に付けてくれれば良いだけだよ」
「……へぇ、俺が着けても違和感ねぇバックルだな」

五芒星の刻まれたシンプルなベルト用のバックルだ。
魔力は感じられない。至って普通。

「これ、魔力感じねぇけど……」
「隠蔽してるんだ、そうじゃないと王の不意は突けないからね。
 中に封じてる魔方陣は王を退けるもの。一回分の魔力しかないから使い時は考えるんだよ。
 他の用途にも使えないことはないけど、魔方陣が使えなくなるから気を付けて」
「大体どれくらいの量なんだ?」
「んー、シエナの限界10倍くらい。もちろん元の世界換算でね」

想像しただけで一瞬目眩がした。
比較で名前が上がったスカッシュちゃんでさえ、
俺の何十倍もの魔力を持っているというのにそれのさらに10倍。

「――それ、俺に制御できんのかよ?」
「できるできる。君がデイシアの騎士なら簡単さ」
「言ってくれるぜ……まぁやるしかねぇんだろ?
 使わなきゃいけねぇ事態が起きる前に帰ってきてくれや」
「言われなくても。それじゃ、鍛練頑張って」
「おうよ」

去っていくDを見送り、再び剣を構える。
また素振りから始めようとしたところで、遠くからDの声が。

「そうそう、その剣に流す魔力は今の半分くらいが一番力を発揮するよー!」
「マジかよ!?」
「マジマジー! 今の君なら、ね!
 次の段階を解放するには魔力が足りてないから無理する必要は無いはずー!!」

確かに最近威力があまり変わらないのは自覚していた。
次の段階に魔力が届いていないなら、
無理をするより別の場所に回した方が有意義かもしれない。
例えば、剣技を多く繰り出せるようにするとか。

「サンキューな!」
「無理しちゃダメだよ!」


家族を守るためならば、何だってやってやる。
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