英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。
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一点の染みもない真っ白い空間。
上も下もなく、ただそこに浮いていた。
「――ぁ」
声を出そうとしても、零れるのは吐息のみ。
身体はぴくりとも動かない。
――思い出せ。
思い出せ、ここはどこで自分はなんなのか。
いったい何故自分はここにいる?
順を辿って思い出せ。
まず、ここは……牢獄。
神や精霊のその力を封じ、全てを奪い去る光の揺りかご。
……けれど、自分は神でも精霊ではない。
ならば、自分はなんだ。
ここに囚われてしまうまでに、強い力を持つ何かなのだろうか。
“ティーアン、貴女は一体何を考えているのです”
“だって、もう私は勝てないじゃない。
ならあの子にあげてしまえばいいのよ。
だから貴方に力を渡す理由も無くなったわ、長い間お疲れさま”
“冗談じゃない、貴女はその意味をちゃんとわかっているのですか!?”
“分かってるわ、お姉様達もそれで良いと仰っているもの。
貴方が一番知っているのではなくて?
私達はずっと昔から手に余していたのよ、丁度良い機会だわ”
突如甦ってきた、金の瞳を持つ女性とのやり取り。
彼女は我らが世界『カルバス・トゥ・ドラク』を創り上げた神々の内の、一柱。
生命の聖火を以て、命を生み出した女神。
“貴女は勝手だ、あの時ボクを2つに割らなければ勝機もあったでしょうに”
“ええ、それは後悔してるわ。少なくとも、向こうに感情を残してあげればよかった。
そうすればもっと簡単に状況だけで潰せたのに”
“……そして、新たな絵をお描きになるのですか。今ある命を全て見限って”
“ええ、次は人間は描かずに描き上げて見せる。竜の望む楽園を”
それは、そこに住まう命を考えていない言葉。
ああそうだ、ボクは。
“……ならば、ボクとの契約を破棄してください。飼い殺しはうんざりだ”
“嫌よ、貴方がもう2度と現世に干渉する事は許さない”
“意地でも、戻る”
“……そう”
それから、既に力らしい力を失っていた自分は捕らえられ、ここに入れられた。
光の揺りかごは、眠るように存在を消滅に導く牢。
このままでは直に、全てを失ってしまう。
どうにか脱出しようと、動けと身体に命じてもぴくりとも動かない。
そもそも、感覚が無い。
今見ている光景でさえ、真なのだろうかと勘繰ってしまう。
「――!!」
遠くから、声が聞こえた。
それと同時に、この空間を生み出した張本人が揺らいで枷が緩むのを感じ取った。
「――!! ―――!? ――――、―――!!」
白を裂いてその場に現れたのは、紫の――
「――紫苑」
「D、助ける、約束した。竜、約束、絶対」
「いいの? 運命捻じ曲げて」
「……見なかった、決めた。見てない」
白が、紫に変化していく。
「だって、D、ヤンディ、居なくなる嫌」
「……それでいいのかなぁ」
「いい」
空の器に満たされていく、確かな力。
愚かな女神に繋がれた鎖がほどけてゆく。
それと同時に甦る、封じられていた“きおく”たち。
空間が紫に移り変わった。
ボクはもう、鎖に繋がれた玩具ではない。
彼女の人形ではなく、理に縛られた聖霊でもなく。
「――ありがとう、紫苑」
「D、友達仲間助ける。……絶対」
「あぁ、必ず」
やるべきことはすぐにわかった。
ああ、色濃い闇は忘れてなどいなかった。
ならば、ならばこれで終わるのだろう。
もはや、ボクたちに争わなければいけない理由は無いはずだ。
“あなたに授けよう”
歪に絡んだ運命は、あるべき道へ。“私が見た運命を覆すだけの力を”
ボクがかつて人間として望んだことは“異端と言われる竜の私が望んでいることは”
―― 全てが手を取り合える、そんな世界 ――
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31
性別:
女性
誕生日:
1994/05/10
