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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:D】

ボクとマスターとの契約は既に切れている。
マスターは死神の下から逃げ出し、家族と共に過ごしている。
けれどその契約を無理に拡張し引き伸ばしているのはボク。
帰りたくない、帰る場所が無い。

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霞んだ満月に手を翳す。
手で隠れて見えなくならなくてはいけないのに、変わらずそこに丸い月が見えていた。


「……太陽は誤魔化せるんだけどな」


落ちこぼれではあるが、光の一族に産まれ生きていたのだ。
日の光を使って、存在を象る事は簡単。
……けれど、夜の光までは専門外だ。

月の光に半分透ける自分を見下ろして、ため息をつく。
今までストックしていた魔力も間もなく切れてしまう。


「――君が横に居てくれたら、どんなに楽か」


膝を抱えて、遠き日の友を想う。
闇の一族に産まれ確かな覚悟で長を務めあげた君と
光の一族に産まれ望まぬままに長となったボクは正反対。

君は光であることを望み、ボクは闇であることを望んだ。
――よく、産まれ落ちる場所を2人揃って間違えてしまったんだと笑ったっけ。

そんな彼は、とうの昔に死んでしまった。
紛れもなく、ボクと家族を……人間を、世界を守るために。
賢い彼なら、いくら神を裁く剣を振るったところで、
届く前に殺されると解っていただろうに。


「止めよ……今は、今を見なきゃ」


女神から力を絶たれて暫くが経った。
辛うじて、自らの神格と紫苑の力で存在を繋いでいたがそろそろ限界だ。
紫苑の、運命竜の力はあまりに重すぎて。
最近は水晶まで借りて制御をしていた。
……それでも、マスター用に魔力を変換するだけで手一杯。
自身の存在維持にまで力を回す余裕がない。


「短命の聖霊が、ここまで存在していられた方が奇跡、かな」


僅か数ヶ月後に控えているという、中盤戦とやらが終わった頃に手を打とう。
一番の懸念はマスターが不安定になるであろう事だけれど、指輪をシエナに預ければ良い。
あの子の魔力は膨大で、魂の状態にも敏感。
一時的に命綱を預けても、きっとマスターならわかってくれる。


「それまで、なんとかやらないとね」


竜の力は強力故に重い。
直接支援を仰ぐのはボク自身を追い込むことに他ならないのだ。

起こり得る未来と、打てる手は全部で3つ。
このまま何もせず存在の拡散を待つか。
自ら在るべき場所に還るか。
あるいは、女神の下を離れて新たな主を定めるか。

いずれにしろ、リスクが高すぎる。
何をしても結局待っているのはボクという存在の拡散。
望みがあるのは最後の案だが、こればかりはマスターをも巻き込みかねない。


「――もし、存在ごと砕かれてしまったら」


考えたくは無い。
けれど、このリスクを覚悟しなければ安全と安定を確保できない。
やるしか、ないのだ。

月を見上げて想うのは、かつての友人達。
ボクが悪魔の子だと知っても尚、側にいてくれた人達。
審判が下されたあの瞬間を生き延びたのは、
世界の意思を最期まで知れなかった2人だけだったけれど。
でも、それでも。ボク達は引き会わされた。


「どうか、我らに――」


思わず口にした言葉は途中で失われた。
祈りを捧げる相手が、咄嗟に浮かばなかった。


「……我らに、竜の加護あれ。廻る魂に、今度こそ安息の命を」


願うのはただ、今を生きる彼らに人ならざる干渉が無くなる事。
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