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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:スカッシュ】

勝てなければ前には立たせないとは姉さんの言。
勝たないわよ、だって勝ったら勝ったで面倒だもの。
プライド高いって、本当面倒だわ。

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「……結局、こうなるのね」

炎から双剣を取り出して構える。
視線の先で、武器もなしに構えるのは姉さん。
満足に魔法を使えない自分に勝てなければ前線に立つことは許さないと宣言された。
普段はサポートに回っている姉さんだけれど、その武術もバカにはできない。

「いつでも来い」
「怪我しても知らないわよ!!」

力いっぱい地面を蹴って剣を振るう。
しかし第一撃は見事に避けられてしまった。

「そんなものか?」
「まだまだぁ!!」

一瞬足に魔力を集結させ、一気に間合いを詰める。
――この間合いなら、外さない。
そう確信して攻撃を放つ!!

「……!!」

目の前から姉さんが消える。
……否、大きく跳躍し真上にいた。
空中で身体を捻り、着地すると首に腕を掛けられる。

背後を取られたこの状況から姉さんに反撃するのは無理。
どう動いても急所を突かれてしまう。

「――さすが、元暗殺者」
「ふん、お主とは経験が違うでな。これで文句は言わせん、大人しく後衛に戻れ」
「ぶぅ」
「……これでも遠征に行くという部分は譲っているつもりなんだがな」
「うー、もう分かったわよ!!」

剣を仕舞い、腕を振り払って拠点の扉を勢いよく開く。
談話室ではボスがくつろいでいて、目が合う。

「負けたらしいな」
「見事に惨敗よ、もうっ」
「なら、俺も前衛に戻らないとな。今度は前より強くなってると思うぜ」
「えー、そう?」
「魔力量も増えてるんだぜ?
 基本的に鎧に回しちまってるんで気付かねぇかもしれねぇが、
 これを剣にまわしゃ更に魔剣の力を引き出せるだろうよ」
「あっそ、あたしは魔法考えないといけないから部屋に篭るわ。夕飯おねがーい」

ちょっとした批難の声を無視して自室に向かう。
そして分厚い本を本棚から引っ張り出し、広げる。

「……前と同じじゃダメだわ。もっと、強力な魔法を絡めなきゃ」

味方全員の士気を上げ、敵に当てやすくしたり攻撃を避けやすくする舞。
それに魔法を乗せればもう少し効果を引き上げられるだろう。

「凄いって、言わせてやるんだから」

あたしひとりの力じゃ高が知れている。
けれど、だったら。

「あたしが戦うんじゃない、皆が戦いやすいように」


踊り子らしく、舞い踊ろう。
巫女の名に恥じぬよう、仲間に加護をもたらせるように。
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