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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:ケルト】

それは、確かに俺を蝕む。
どうすることも、できなかった。
だからこそ、動かなければ死んでしまうと、奮い立たせた。

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魔剣を鞘から抜こうとして、諦める。
茨の乙女が言う『我が君の剣』とはおそらくこの剣の筈なのに、
もうずっと鞘から抜く事ができない。
一度大きく呼吸をし、ベッドに潜り込んだ。


――身体が、異様に重い。


原因は分かりきっている。
ゆっくりとコートの袖を捲った。
もう、テーピングで隠せるレベルでは無くなった。
痣は茨そのものに姿を変えて、今日も少しずつ俺を茨で抱こうと成長している。

首より上に茨はこない。
それは救いだったが、茨が這っていない部分は後僅かに左足と右膝より下の部分のみ。
進行速度を考えれば、あと数ヶ月も持たないだろうことは明らかだった。


痣で済んでいた頃は、限りある魔力だけを吸われていた。
故に、魔法の使い方さえ考えればまだ乗り越えてこれた。

だが、今はどうだ。
遠征中は気合いでギリギリ切り抜けているが、
少しでも気を抜いたり魔法を使いすぎると目の前が霞む。
普段の生活でさえ、辛くなってきた。

この症状には覚えがある。
厳密に言えば状況が違うが、これは命を燃した時に近い。
それはつまり、茨が俺の生命力を奪っていることに他ならなかった。


動かない身体で無理に寝返りを打つ。
いくら動かないからとずっと同じ体勢なのも辛い。

……もう、とっくの昔に独りで解決できないことには気が付いている。
なんと言って良いかがわからずずっと悩んできたが、
これ以上悪化してしまえば助けを求めるどころでは無くなってしまう。



「……」



手紙なら何度も書こうとした。
だけれど、何も書けなかった。
いつも書いているはずの、飲みに誘う文面すら書けなくなった。



「……動ける、うちに」



いきなり押し掛ければ流石に迷惑かもしれない。
でも、そうも言っていられない。
なんと言えば良いのかは相変わらず分からないが、行くだけ行ってこよう。





……きっとこれが、最後のチャンスだ。
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