【視点：？？？】

……わかってよ。
運命は、当事者に伝えられないんだもん

力の流出が止まらず、悶えて苦しんでいるのは分かるのに、なにもできない。
一応、忠告はしたつもりだったの。
でも、私は上手く言葉が出なくて、伝わらなかったみたい。


「――ぐ……が、っ……」


運命は、教えてくれていたの。
貴方がこうして苦しむことを。
必死に存在を繋ごうとしている貴方が、とてもかわいそうで。


「……規律、破った。Ｄ……消える？」
「……っ、ぁ……」


壊れたような音の出ない笛の音を喉で鳴らしている、トモダチ。
私には、何もできないの。
他の竜のように、癒す力も、その苦しみを壊す力も、なにもない。
だって私は、夢しか見られない。


「悪い、Ｄ。」
「しっ……て、る……」
「……紫苑、悪い、子」
「――え……？」


だってこのひとは、このひとのトモダチは、もう何千年も苦しんできた。
もう、苦しまなくたって、いいでしょう？


「ちょっぴり、おやすみ。Ｄ、起きたら、元気……」
「し、おん……？」


竜の秘術を掛けたなら、一瞬の内に眠りについた。
どうか、せめて。せめて今だけでも……安らかに。