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英雄クロニクル/サクセス鯖 女神の誓(1uxv)の主にSS置き場。

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【視点:???】

そう、これでいい。
俺の名など、残らなくていい。
どうか忘れてくれ、俺がここにいることなど。

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茨に覆われ、かの蛇がこの世界を去った。
それを確認し、作っていた笑みを消す。

ああ、バレてしまった。
いつかはバレるとわかってはいたが、やはり気が滅入る。
茨があの腐れ神共に黙っている訳がない。

あの神の血を引くと言った男は、俺を尊敬すると言った。
――本当にあの男は神か?
俺の事は、あの時代すでに存在していた人外ならば知っているはずだ。
纏う気配からは、遥かに長い時を過ごしていることを感じ取れた。


「……いや、そんな場合じゃあねぇな」


早く盾を直してやらなければ。
剣はその内に直るだろう、あっちは覚悟の剣。
それさえ鈍らなければ、あいつが傍にいるならば、大丈夫だ。

未だ安らかに眠るそいつを通りすぎ、今にも壊れそうな大盾を持つ。
重かったはずのそれは軽い。よくもここまで持ちこたえたものだと思う。
……大体、“騎士”が持つのはいつの時代も両手剣。

盾を持つのは、剣を持たぬ“姫騎士”。
ケルシュタードの妻となるべく生み出されたアルケーナ。
彼女は生涯夫の後ろに立ち、子供達を全ての災厄から護ったという。
――この盾は、実の子しか護らない。


「なんつーか、お前恵まれてるな。
 シエナの血を引いた上に姫騎士の子として生まれ、Dまで傍にいて。
 その上、こんなところまで助けに来てくれる親友がいて」


羨ましいと、思わずこぼしてしまった。
盾に注ぐは聖なる闇。
その場しのぎでしかないが、それでも無いよりはましだろう。
死しても子を守らんとするその心ならば、すぐに盾を復活させるはずだ。

闇に映える赤髪に視線を落とす。
なんて、なんて羨ましくも懐かしい。

その赤髪で思い出すのは成長緩やかな火炎竜の子。
あの男が微かに持ってきた香りには、精霊を身に宿すあの人も感じられた。
――もう二度と感じられぬと諦めていたというのに。


「……そう、今度こそ。今度こそ最後だ」


余計に深くなった闇を気にせず、盾をそいつの近くに置いてやる。
これがなくては、いくらなんでも飲まれてしまうだろう。
ここはただでさえ闇が濃すぎる。


「――彼に、望む限りの安息の夜を齎せ」


紡ぐのは、幼いそいつがせめてここでは安らかに眠れるようにという祈り。
もしもできることならば女神を打ち倒せと言いたいが、もう俺の言葉は届かないだろう。


「さっさと連れてけ腐れ神共。
 どれだけ深かろうが、俺は俺のままでいる。
 俺は永久にお前達を呪うぞ、俺から全てを奪ったお前達を」


今まで感じたこともない、何もない闇が押し寄せる。
そうして、さらに深くへと引きずり込んでゆく。

重く、苦しく、身体の一切が拘束される。
これまでも散々繰り返してきた。
何人もがそこまで逃げ込んできて、その度に干渉できぬよう更に深い場所へ連れ去られる。


嗚呼、けれど。
今回はどうにも違うらしい。


「――は……っ……つい、に……俺であること、すら……」


意識が解けて消えてゆく。
けれど存在が解けることはない。
奴らだって、俺という存在を完全に解けば還ることを知っているから。
俺が還れば、“ケルシュタード”は“デイシア神の騎士”ではあれなくなる。


「……ふり……むく、な……」


D、どうか。
どうか俺を救おうとしないでくれ。
過去の俺なんかよりも、今を、未来を救ってくれ。


「――……」


闇の封印の、恐ろしさは誰よりも知っているから。
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